帰依者きえしや)” の例文
彼が人間同士の幾多の信頼にそむいて居ることよりも、この純一な自分の帰依者きえしやに対しての申訳なさは、彼にはむしろ数層倍も以上に感じられた。
ああ、貧困は実に天才を護育するの揺籃えうらんなりき。敬虔なる真理の帰依者きえしやスピノザもまたくの如くなりき。彼は眼鏡磨臼すりうすをひいて一生を洗ふが如き赤貧のうちに、静かに自由の思索にふけれり。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)