布良めら)” の例文
布良めらから竹原村に来った時には「板橋の霜色沙よりも白く」、館山たてやまでは冬もようやく寒くなり、その年もいつか残り少くなっていた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「だッて……女だって、裸が恥かしいとはきまらないでしょう、布良めらのあまの姉さんたちをごらんなさい、いつでも裸でいるじゃありませんか」
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
故友の青木繁はその絵を房州の布良めらで描いた。一見印象派風のものであるが、故人は単に写実を目あてに筆を運んだものであろうか。鶴見はうべなわない。
鯛、鱸、かれい、黒鯛など、婦人が行っても釣ることができる。安房あわの南端布良めらの釣遊は豪壮であった。外房勝浦方面の釣り案内舟は、いま一段の改善が欲しいと考えてみたこともあった。
水の遍路 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
布良めらの濱かち布刈る女が水を出で妻木何焚く菜種殼焚く
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
房州の布良めらに行つてゐた時の詠である。
樹木とその葉:07 野蒜の花 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)