左右とかう)” の例文
夢かとばかり驚きながら、たすけ參らせて一間ひとませうじ、身ははるかに席を隔てて拜伏はいふくしぬ。思ひ懸けぬ對面に左右とかうの言葉もなく、さきだつものは涙なり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
餘りの事に左右とかうの考も出でず、夢幻ゆめまぼろしの思ひして身を小机こづくゑに打ち伏せば、『可惜あたら武士ものゝふに世を捨てさせし』と怨むが如く、嘲けるが如き聲、何處いづこよりともなく我が耳にひゞきて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)