山河さんか)” の例文
僕は実際この草土手に「国亡びて山河さんか在り」といふ詠嘆を感じずにはゐられなかつた。しかしこの小さい草土手にかういふ詠嘆を感じるのはそれ自身僕にはなさけなかつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
要するに僕はひらいて地理を調査する人だったのだ。それでいて脚絆きゃはんを着けて山河さんか跋渉ばっしょうする実地の人と、同じ経験をしようと焦慮あせり抜いているのだ。僕は迂濶うかつなのだ。僕は矛盾なのだ。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこには起伏する山河さんか幾百里のうねり
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)