尾類ズリ)” の例文
琉球の遊廓へ、税務所の官吏が出張して尾類ズリ(遊女)の数を見定めるには、竈の側に置いてある香炉の数で知る事が出来ると言ふ。
琉球の宗教 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
之を呼ぶに尾類ズリの文字を以てするのは、如何にも殘酷な氣持がすると思ふのは私ばかりではあるまい。
沖縄の旅 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
昔、此附近へ女神が降りて来た時、村人は尾類ズリ(遊女)が降つたと言うて嘲笑した。天女は再び天へ上り、異つた地へ天降つた。
琉球の宗教 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
寛文十二年(康熙十一年)方々に散ばつて居つた尾類ズリ、即ち女郎をこゝに集めたのに始まるのであるが、明治四十一年仲島渡地の娼家をも併せてから、益々繁昌して今日に至つたと言ふ事である。
沖縄の旅 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
又、白保スサブ村の波照間おほんの如きも其である。此等は皆、御嶽に属して居るけれども、個人で言へば、尾類ズリが竈に香炉を置いて遥拝するのと同様である。
琉球の宗教 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
沖縄では、踊りも三味線も、男の芸になつてゐるので、女で三味線を弾くのは、尾類ズリといふ女郎だけである。
組踊りの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
女性が琉球踊りに不適当なことは、尾類ズリの踊りを見ても訣る。守良君がその名の如く、沖縄の踊りの良質を守り遂げようとするならば、もつと男性の踊り手を養成してくれなければいけない。
同胞沖縄の芸能の為に (新字旧仮名) / 折口信夫(著)