尻切半纏しりきりばんてん)” の例文
屏風びょうぶのようになった岩の蔭。水を飛び越えて七兵衛は声のする方へ行って見ると、笠をかぶって首から肩へ袋をかけて、尻切半纏しりきりばんてんを着た十五六の少年が一人、水の中を歩いています。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
敷居際につくばった捨吉が、肩のあたりに千草色の古股引ふるももひきあかじみた尻切半纏しりきりばんてん、よれよれの三尺、胞衣えなかとあやしまれる帽をかぶって、手拭てぬぐいを首に巻き、引出し附のがたがた箱と、海鼠形なまこなり小盥こだらい
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)