小菊紙こぎく)” の例文
汗ばんだ額ぎわの白粉を小菊紙こぎくでたたいて、日傘をたたみながら暫くそこに休んでいますと、どこかでかすかな人声が流れました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露八が訊くと、茶の間に立って、厚帯の間から、小菊紙こぎくだの、鏡だの、くしたとうだのを、ぽんぽんと出してはそこらへ抛り散らしながら
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軽いせきがこみ上げてきた。細ッそりとした肩のあたりで箪笥たんすかんが揺さぶれる。と、二ツ三ツむせびながら、お米は小菊紙こぎくを出して口を押さえた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「森様、お包み致しましょう」お米が小菊紙こぎくを出していうと、もう幾分か酒に酔わされている啓之助
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、お喜乃は元結箱を下ろして、陽にあたって来たびんの汗を、そっと小菊紙こぎくで抑えていた。
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
露八は、自分の顔の置場に困って、お蔦の捨てた小菊紙こぎくや鏡をひろい集めていた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小菊紙こぎくを出して、口をふいた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)