小栗風葉おぐりふうよう)” の例文
佐藤紅緑こうろく氏の「侠艶録きょうえんろく」の力枝りきえという女役者は、舞台で気の狂った紀久八がモデルであった。小栗風葉おぐりふうようだったかのに、「鬘下地かつらしたじ」というのがある。
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
小栗風葉おぐりふうようにもたった一遍、中央公論社がまだ本郷西片町ほんごうにしかたまちの麻田氏の家の二階にあった時分、滝田樗陰たきたちょいんに引き合わされてほんの二、三十分談話を交した。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
四十三、四年頃にいたりて正宗白鳥まさむねはくちょう浜町の私窩子を描き、小栗風葉おぐりふうようは鶴巻町辺の酌婦しゃくふの事を小説に書きしことあるやうに覚えしが今その名を憶ひ得ず。暫く後考こうこうつ。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)