将棋チェス)” の例文
旧字:將棋
少年期をわずかに脱した頃、未だ一つの小説をも、ものしない前に、彼は、将棋チェスの名人が将棋に於てつような自信を、表現術の上に有っていた。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
たとえば、将棋チェスをさす人は、計算はするが、分析しようとはしない。だから、チェス遊びが心的性質に与える効果などは、ひどい誤解だということになる。
「さあ、……手前がお食事を運ばせました時は、皆さんで将棋チェスを指して、おいでになりました」
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
それから二日ほどのち、わたしはハムレットと夕暮の窓際で将棋チェスをさしていました。
ハムレット (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
村の人々が将棋——我国の将棋チェスよりもこみ入っている——をさしている光景は面白かった。私はニューイングランドの山村の一つに、このような光景をそっくり移して見たいと想像した。
スティヴンスンは寝床の上に起上って待っている。将棋チェスをするのだ。「病人は午前中は、しゃべってはいけない」と医者に禁じられているので、無言の将棋である。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ほかの者たちが将棋チェスに打ち興じている時、伯爵はひそかに室の一隅の螺旋らせん階段を下って、——この通路が地下でキビラ石むき出しの隧道トンネルになって、二つ三つの横の通路と交叉こうさして
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)