射程しゃてい)” の例文
アドロ星の撃ちだす破裂弾はれつだん射程しゃていが、いまやガンマ星にとどくようになったらしく、しきりに空気は震動し、本艇はゆさゆさと揺れだした。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
前田勢の銃手をもって、玄蕃允はすぐ敵の進路に、急速な配置を指揮しつつあったが、彼方の砂塵は、動かぬ人馬をおおいつつんだまま、射程しゃていに入って来なかった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しばらくすると、どーんと銃声一発汐風しおかぜふく暗い洋上の空気をゆりうごかした。射程しゃていはわずかに百メートルぐらいだから、見事に命中である。
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その頃、米国艦隊の主力は、十六隻の単横陣たんおうじんを作り、最も後方にいたが、ようやく三万五千メートルの射程しゃていに入ろうとして、もっぱら注意力を、前方に送っていた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
初速の大きいことは、すなわち射程しゃていが長いことである。しからば、われは敵の砲兵陣地ほうへいじんち乃至ないしは軍艦の射程外にあって、敵を砲撃することが出来るのです。こんなことは常識だと思いますが……