寢褥ねどこ)” の例文
千登世をいつくしんでくれてゐる大屋の醫者の未亡人への忘れてはならぬ感謝と同時に、千登世に向つても心の中で手を支へ、うなじを垂れ、そして寢褥ねどこに入つた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
義雄は毎晩の通り身づから寢褥ねどこを敷いてから、無言でお鳥を抱き起してやると、かの女は半ば自分の力ですツとつツ立つた。無論、ふくれツ面をして、これも無言だ。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)