密々話ひそ/\ばなし)” の例文
「いやア、今日はお預けしといて、芽出たい席で底拔けに頂戴しますわい。」といふ平七の高聲が、父の居室に聞えて、密々話ひそ/\ばなしは酒にもならずに崩れた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
これは丹治が圓次を殺した時の顔を馬が見覚えて居たものと見え、怖がってバタ/\暴れたので、丹治もおかしく思いながら奥へ這入り、おかめと差向いで何か密々話ひそ/\ばなしを致して居ります。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夜は十二時、一時になつても奧のお座敷からお父さまお母さまの密々話ひそ/\ばなしの聲が洩れ聞えます。お兄さまも時にはお父さまに優しい慰めのお玉章てがみ差上て下さい。切なわたくしのお願ひです。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
お駒が酒のお酌か何かに道臣の居室ゐまへ入つて、長いこと密々話ひそ/\ばなしなぞしてゐる時、定吉は別に何事をも感ぜぬらしく、竹丸を嘲弄からかつたりして面白さうにしながら
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
おかめはこれをいゝ機会しおにして分家へ話をすれば、分家のじゝいは堅いから多助を追出すのは手間暇いらずだから、斯ういう都合にしましょう、あゝいう都合にしましょうと密々話ひそ/\ばなしをしている所へ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其後平七は二三度來たが、毎も四疊半の居室で父と密々話ひそ/\ばなしをしては歸つて行つた。
父の婚礼 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)