実相さま)” の例文
旧字:實相
平家の門閥もんばつが、民をかえりみるいとまもなく、民の衣食を奪って、享楽の油に燃し、自己の栄耀えようにのみ汲々きゅうきゅうとしている実相さまが、ここに立てば、眼にもわかる。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神護建立じんごこんりゅう勧進かんじんのため、院の御所へ踏み入って、折から、琵琶びわや朗詠に酒宴さかもりしていた大臣おとどどもに、下々しもじもの困苦ののろい、迷路のうめきなど、世の実相さまを、一席講じて、この呆痴輩たわけばら一喝いっかつした所
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)