官人かんにん)” の例文
筒井は或る官人かんにんのもとに働くように手立てをしたが、低い官人ゆえ、ただそこで衣食するだけであった。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
同じ日の同じ時刻に、上の官人かんにん発企ほっきによって持彦は加茂の川原に連れ出されていた。そして彼は秋おそいみそぎの水を浴びなければならないように、四囲の事情が迫っていた。
花桐 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
土地がかりの官人かんにんの家は、広大な石垣をめぐらした川べりにあった。筒井はすぐ見出されて仕えの女のなかでも、重い地位をあたえられ、奥の仕えばかりを勤めることになっていた。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)