安房峠あぼうとうげ)” の例文
木曾路を取って京都へ帰ろうとした神楽師かぐらしの一行が、ふと道を間違えて、こちらへ入り込んだからやむを得ず、安房峠あぼうとうげを越えて、飛騨ひだへ抜けようとのことです。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
松本からは、島々を経て、安房峠あぼうとうげを越え、飛騨高山を通って、例の大家族部落と、合掌がっしょうづくりの屋根で名だかい白川村へ行った。白川の一夜など、忘れがたいものがある。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これから焼ヶ岳の噴火の現場へ登れるだけ登って見届けて来るとのこと、弁信法師はといえば、これから安房峠あぼうとうげを越えて、飛騨の平湯の温泉へ参りますとのこと。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
途中一つ信州松本への廻り道があっただけ、安房峠あぼうとうげを越えてしまえば、平湯ひらゆまでは二里に足らぬ道。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
たしかに中の湯から安房峠あぼうとうげを越えて、飛騨の平湯をめざして行ったと猟師の奴が話すものだから、それ追っかけろと、今早朝、白骨を立って、てっきりここと押しかけて見ると、果して
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
安房峠あぼうとうげの雪はいいだろう、それに飛騨の平湯がまたこことは違った歓楽郷だということだし、高山も山間に珍しい風情のある都会だということだから、この機会に、僕も一つ同行を願って
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは安房峠あぼうとうげを越えて、飛騨ひだの方面へ行ってしまったのかも知れない。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)