孑然げつぜん)” の例文
忽然こつねんとして其初一人来りし此裟婆に、今は孑然げつぜんとして一人立つ。待つは機の熟してこのみの落つる我が命終みやうじゆうの時のみなり。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
我自ら我身を顧りみれば孑然げつぜんとして小虫の如く、車夫にののしられ馬丁に叱られ右に避け左にかがまりて、ようやくに志す浅草三間町へたどり着きたり。
良夜 (新字新仮名) / 饗庭篁村(著)
大内は西方智識の所有者であったから、堺の住民が外国と交商して其智識を移し得たからである歟、我邦わがくにの城は孑然げつぜんとして町の内、多くは外に在るのを常として
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)