婿入むこいり)” の例文
婿入むこいりの時、肝腎かんじんの婿さんが厚い下唇を突出したまま戸口もとにポカンと立って居るので、皆ドッと笑い出した。久太郎が彼の名であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
竜宮女房の普通の形は、今日の嫁入婚よめいりこんに近く、妻の親里おやざとに行きかようということはないのだが、この花売竜宮入りだけは婿入むこいりに始まっている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「兩刀をかんぬきにして夜盜に入る方がをかしくはないか、婿入むこいりぢやあるめえし——それに錢形の親分の前だが、忍術の流派の中には、長物を嫌ふのがあつたと思ふが」
猿の婿入むこいりの昔話は、前にすでに大要をべておいたが、これにも欺き終おせて無事に還ってきたという童話式のもののほかに、とうとう娘を取られたという因縁話も伝わっている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
猿の婿入むこいりという昔話がある。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)