奄美あまみ)” の例文
福は奄美あまみ大島の出身だが、昭和十八年に一家は沖縄島に移住をした。才気のある男で、いろいろと替歌をつくった。この歌も
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
九州の東南岸にいた海人部あまべの一氏族が、紀元前に奄美あまみ大島を経て沖縄島に来たという事を言語学上から証明したことがある。
土塊石片録 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
奄美あまみ大島ではこれを浜下りといい、遠く離れて陸前の金華山近くでは磯祭、関東では単に子供の花見ともいうが、何れも日は三月の三日である。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
奄美あまみ大島生れの、髭の濃い教授は、それが若い女性であるということで一層こころもとなさそうに、まだときどきぱふと口をあけては苦しそうにあくびをしている素子をかえりみた。
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「なにも今のところ情報は入らないが、赤穂からまた逃げ出して、今は奄美あまみ大島かどこかに行っているらしい」
ボロ家の春秋 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
話の細部は多くこういうふうに進化して、どんなのが旧い形ということは勿論きめられないが、少なくとも日本本土の北の端から、南は奄美あまみ群島の二、三の村にかけて
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
英祖の時代に西北諸島すなわち久米、慶良間けらま伊平屋いへや及び奄美あまみ大島がはじめて入貢したので官衙かんがを泊村に官舎をその北に建てた。この頃には泊港が沖縄第一の港であったのである。
浦添考 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
「泳ぎならうまいですよ。今は沖縄だが、生れは奄美あまみ大島だからね。子供の時から水もぐりにゃ慣れている」
幻化 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
北に連なる奄美あまみの島々ではニルヤが多く、その他にまたネリヤがあり、根屋と書いてニーヤと呼ぶものさえあり、多くの昔話の中では竜宮という言葉が、その根屋と交互にさし替えられている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
前に「竹取翁考たけとりのおきなこう」の中でも注意をしたことがあるが、奄美あまみ大島の最も外部と交通の少ない地域にも、おかしい位この天草の話とよく似た話があった。むかし一人の翁が、クロという犬を飼っていた。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)