太后おばば)” の例文
その力が、あの太后おばばの西の征路みゆきに、わざわざ初児を身ごもつてゐる大田を引きずり出したのだ。そしてこのおれを、京の留守役に釘づけにしたのだ。いや、あべこべだ。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
おれは中でも、あの大伯おおくの幼い顔を見るたびに、心が痛んでならぬ。あの子は、もちろんお主も知つてのとほり、宝ノ太后おばばが西へ征かれた途中の海路うなじで、大田が急に産気づいて生みおとした娘だ。
春泥:『白鳳』第一部 (新字旧仮名) / 神西清(著)