天狼星シリウス)” の例文
それでも近間の山には雲の影もなく、空は水浅葱みずあさぎに澄んで、天狼星シリウスが水の落ちて来る左側の崖の上の雪田を掠めてかすかに光っている。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「ああ、今日の君はロバチェフスキイ(非ユークリッド幾何の創始者)だよ。いかにも、天狼星シリウス最大視差マキシマム・パララックスが計算されたのだから!」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ファウルホルンの方角にはシンニゲ・プラッテの附近が際立って明るく、ニーセンの頂上にはアーク灯らしい光が天狼星シリウスのように光る。
南天高く、輝く燈台鬼となって、オリオン星座が二王立ち、天狼星シリウスは、岳陽の空をつんざいて、すさまじい冷光を吐き出し、北斗は、ゆうゆう、金峰山頭を徘徊する。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
「いや、僕は天狼星シリウス視差パララックスを計算しているのだっけ。またδデルタもあればξクシイもある! それ等を、一点に帰納し綜合し去ることが出来ればいいのだ」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
二階に戻りしなにふりかえると、蒼白いグレルニッシュの氷の上に天狼星シリウスがピカッと光っていた。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
改札口を出て先ず仰ぐ南方の天には、羅馬ローマの滅亡を予知して色を変じたといわれている天狼星シリウスの閃光が、叢の奥から覗いている狼の目玉のように凄い。其上にはオリオン星座がさんとして輝いている。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
つまり、天狼星シリウス最大視差マキシマム・パララックスよりも、それを構成している物質の内容なんだ。云い換えれば、それぞれの犯罪現象に、君の闡明せんめいを要求したいのだよ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)