天城山あまぎさん)” の例文
江川はようやくにしてその土を、天城山あまぎさんの麓と韮山附近の山田山というところから探し出して、煉瓦を作りました。その煉瓦は立派なものでありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そうして姉様よりも更に美しかったので、顔を見合せるのがいやで、間に天城山あまぎさん屏風びょうぶのようにお立てになった。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
関東震災後の復旧測量では毛無山けなしやま頂上で二十八日間がんばって天城山あまぎさんの頭を出すのを今か今かと待っていた人がある。古いレコードでは七十日というのさえある。
地図をながめて (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
学生時代に先生につれられて天城山あまぎさんへ採集に行ったんです。先生は指導をしながら、平賀源内ひらがげんないのことを話したそうです。源内は博識だから知らないものがなかった。
変人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この言葉の眞實味をばよくあちらこちらの山登りをする時ごとに感じてゐたのであるが、伊豆の天城山あまぎさんに登つて富士を仰いだ時、將にそれを感じた。そしてそゞろに詠み出た歌がある。
(彼はそれから何か月もたたずに天城山あまぎさんの雪中に凍死してしまった)
追憶 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
半島の中心をなす天城山あまぎさんが濃く黒く、どつしりとして眼前に据つてゐた。半島から島までは例の白渦の流れてゐる狹い海、それを除いた三方にはすべて果しもない大きな荒海があつた。
樹木とその葉:03 島三題 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
天城山あまぎさんへでも羽をのばしたかも知れません。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)