大顆おほつぶ)” の例文
なかでずばぬけて、大顆おほつぶの実が一つ、大きくくわつと頤を開いて快活さうに笑つてゐる。紅玉のきらびやかな歯並に沁み徹る初冬のつめたさを飽かず味ひ耽るもののやうに。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
暫くすると、大顆おほつぶ甘味うまさうなのが籠に盛つて持ち出された。光政は子供のやうに手を出してその一つを取つた。すると丁度その折襖の影から侍医の皺くちやな顔がひよつくり覗いた。
火焔の塊のやうな大顆おほつぶの柿の実が鈴生になつてゐたのをよく覚えてゐる。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)