大里だいり)” の例文
内は大里だいりでございます。少佐殿におなりになって、こちらへおいでだということを聞きましたので、御機嫌うかがいに参りました。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
途中、大里だいりの柳ノ御所址で、車を降りる。安徳天皇の行宮の御遺蹟とか。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれ、あの向うに……松林の薄黒う見ゆるは……文字ヶ関から大里だいりの浜、あれをうしろにして味方の兵船ひょうせんはおよそ五百艘、さながら大鳥がつばさをひろげたように、左右に開いて陣取っていたのじゃ。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
狭い小倉の町は、端から端まで歩いても歩き足らぬので、海岸を大里だいりまでったり、汽車に乗って香椎かしいの方へ往ったりした。格別読む暇もないのに、君はいつも隠しにドイツの本を入れて歩く。
二人の友 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「西は、豊前ぶぜん大里だいりの浦か」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)