大篝火おおかがりび)” の例文
夜は夜とて、酒肴しゅこうの善美、土地の名物、ひなびた郷土の舞曲など、数々のおとぎ。そして宿殿の外には、夜空も焦がす大篝火おおかがりびを諸所に焚きつらね
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家々の高張、軒提燈のきぢょうちんは云うも更なり、四ヶ所の大篝火おおかがりびは天をもがすばかりにて、森の鳥類を一時に驚かすのであった。
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
無礼! 狼藉ろうぜき! この源六郎に不浄の縄をかけるとは何ごと……などとわめきたてるのも構わず奉行所へ引ったてて、左右に大篝火おおかがりび、正面に忠右衛門が控えて夜の白洲しらすをひらいた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
やむなく、夜毎に、全山に大篝火おおかがりびを焚きつらねて、彼方の味方の孤塁こるいに、遠く、士気を添えている程度にとどまった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)