大水たいすい)” の例文
そして、梶原景時は、府を追われて、駿河路するがじで兵に殺された。武門の流転るてんは、激浪のようである。法門の大水たいすいは、吐かれずしてよどんでいる。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大水たいすいを取り入れるために作り設けた、取入口を探ったり、行き倒れ者に身をやつして、船大工の棟領持田の家へはいり込み、娘をたぶらかして秘密を探ったり、最後にはこの屋敷へ忍び入り
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
霧の底から海があらわれ、霧の上から朝のがさんさんと射る。一の二の洲の水尾木みおつくしも、順に点々と明け放れて、潮の満ち満ちてきた安治川一帯、紺の大水たいすい金泥こんでいを吐き流したよう。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)