大己貴おおなむち)” の例文
父の病をいのりに来た彼は、現世に超越した異教の神よりも、もっと人格のある大己貴おおなむち少彦名すくなびこなの二神の方へ自分を持って行きたかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
永禄二年公家藤原某作てふ『塵塚ちりづか物語』巻三に卜部兼倶うらべかねとも説として、大黒というはもと大国主おおくにぬしみことなり、大己貴おおなむちと連族にて昔天下を経営したもう神なり。
常陸に現れた大己貴おおなむち少彦名神すくなびこなのかみが、『延喜式』に薬師菩薩神社と登録せられてあるのも、本地垂迹説によって薬師如来に習合せられたのではなくして、この神
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
何十丈からの大岩石をめぐって、高山の植物の間から清水しみずのしたたり落ちるあたりは、古い社殿のあるところだ。大己貴おおなむち少彦名すくなびこな二柱ふたはしらの神の住居すまいがそこにあった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)