多淫たいん)” の例文
三十ぐらいの女がやっており、客が引上げると戸板のようなものを椅子いすの上へ敷いてその上へねむるのだそうで、非常に多淫たいんな女で、酔っ払うと客をとめる。
いずこへ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
美人は多淫たいんであるという言葉がほんとなら、お里も、その一人だったし、このお八重も、そうではないかと、一角は、肩をならべて歩くうちに、勝手な異性観を、描いていた。
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まことに多淫たいんな女で、アパートの誰彼とたくみに遊びたわむれている。
オモチャ箱 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)