多加志たかし)” の例文
廊下を抜けた茶の間にはいつか古い長火鉢の前に昼飯の支度も出来上っていた。のみならず母は次男の多加志たかしに牛乳やトオストを養っていた。
年末の一日 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
Sさんは午前に一度、日の暮に一度診察しんさつに見えた。日の暮には多加志たかし洗腸せんちょうをした。多加志は洗腸されながら、まじまじ電燈の火を眺めていた。
子供の病気:一游亭に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
多加志たかしはやっと死なずにすんだ。自分は彼の小康を得た時、入院前後の消息を小品しょうひんにしたいと思ったことがある。
子供の病気:一游亭に (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
妻は二階に眠れる多加志たかしを救ひに去り、伯母をばは又梯子段はしごだんのもとに立ちつつ、妻と多加志とを呼んでやまず、すでにして妻と伯母と多加志をいだいて屋外に出づれば、さらに又父と比呂志ひろしとのあらざるを知る。