埒明らちあ)” の例文
墓参りもし、法事も済み、わざとの振舞は叔母が手料理の精進しやうじん埒明らちあけて、さてやうや疲労つかれが出た頃は、叔父も叔母も安心の胸を撫下した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
埒明らちあかんで、久しい風邪でな、稼業は出来ず、段々弱るばっかりじゃ。芭蕉の葉を煎じて飲むと、熱がれると云うので、」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いづれも最早や埒明らちあき候へば暇乞ひして在所へ罷越まかりこし候にや。それがしかの娘の姿を今一眼見んとて所々を捜し候へども遂に見ることかなはず、そのまゝになり候。