囂然ごうぜん)” の例文
囂然ごうぜん、其処ら此処らで見舞物を開いて蜜柑を頬張るもの、煎餅を噛るもの、海苔巻を手に持つもの、各々言罵りてワヤ/\と騒いでいた。
そう云って、ヴィデの蒼白な顔が、砲栓ほうせんから離れようとしたとき、三の弾が、今度は船尾旗桿に囂然ごうぜんと命中した。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
し御下向遊ばされ候ては天下囂然ごうぜんの節、虚に乗じ万一謀計を為す者も計り難く候。何卒今暫く御滞留遊ばされ候儀然るべくと恐れながら奉り存じ候。云々
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
そのとき、囂然ごうぜんたる爆声が起った。一発又一発。それに交って、カタカタという機関銃の響きだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
足元でダイナマイトが囂然ごうぜん爆発したような、凄まじい音がした——と同時に、黒吉は、物凄い力で数十米も釣上げられ、空中を目茶苦茶に振り廻されるような気がした。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
なにをする! と、突き飛ばされたセルカークはころころと転げ……オフシェンコに打衝ぶつかったらしく、あっと彼の声がする。と、突然の火光、囂然ごうぜんたる銃声。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
次の瞬間には、囂然ごうぜんたる音響をあげて放送局裏の松林の真上に、機首をつっこんだ。パチパチと、物凄い音がして、松林が、ドッと燃えあがった。急に、あたりは、赤々と照し出された。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)