嘱望しょくもう)” の例文
その日、卯木うつぎ夫婦が連れていた若者は、幼名を観世丸かんぜまるといっていたが、やがて観世を姓に直して、まだ二十五の若手ながら、大和結崎座やまとゆうざきざの観世清次せいじと、未来を嘱望しょくもうされている者だった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大胡坐おおあぐらをかいた泰軒居士が、じっと眼をつぶっているのは、今、柳生対馬守の嘱望しょくもうもだしがたく、命を賭けて神馬の像をきざもうと、このたびの日光造営にくわわっていったあの作阿弥を
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)