嘔吐気はきけ)” の例文
三平の駕籠の内では、時々嘔吐気はきけにつきあげられるような声がしていた。平常ふだんから神経質なたちで、健康な方ではないらしい。か細い肉体に、情熱の方が勝っていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二日目と三日目が長途ちょうとの早打には最も苦しい時だという。頭脳あたまは何も考えられなくなって、揺れ方がわるいと、嘔吐気はきけがつきあげてくる。三平は時々、気付薬きつけを口に頬ばっていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
胃液は、もう消化する何物もないのに、まだ主体を生かさんために、胃壁そのものを溶かしはじめた。自壊じかい自給作用である。それはたまらなく不快な嘔吐気はきけと激痛とを発作的に起した。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから伝公は気違いのようになって、湯屋湯屋と血眼で探して歩いたが、もう目眩めまい嘔吐気はきけに堪らなくなったらしく、両手で頭を抑えたまま、真ッ青になって、自分の家に転げ込むや否や
醤油仏 (新字新仮名) / 吉川英治(著)