嘆願たんがん)” の例文
甚五郎の行方は久しく知れずにて、とうとう蜂谷の一週忌いっしゅうきも過ぎた。ある日甚五郎の従兄じゅうけい佐橋源太夫げんだゆうが浜松のやかたに出頭して嘆願たんがんした。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
博士がおどろいて、警部の方をふりかえり、嘆願たんがんするようにおがんだ。それから「骸骨の四」の戸のまえへ進んで、それを開いた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あら困っちまうわ」と私は泣き出しそうにして、「では昼間は誓って読みませんから夜だけはどうか……」と甘えるように嘆願たんがんしてみた。
二人は結婚の当日から争いを始め、ワグナーの窮境時代には富裕な男と駈落をやりかけたミンナであったが、追放時代にはザクセン朝廷に出頭して、三度までも夫の赦免を嘆願たんがんしたミンナでもあった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
オンドリは別人のようにおとなしくなって、大恐縮だいきょうしゅくのていで、僕に嘆願たんがんし、つわびた。僕は、あとは責任をもって引受けるといってやった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「もっと近いところへやってもらえないでしょうか」母は嘆願たんがんするように言った。「三島といえば余り遠すぎて時々会うこともできませんから……」