喜連格子きつれごうし)” の例文
おそるおそる喜連格子きつれごうしをのぞいた途端に、吹っ飛ぶように馳けて行った男の声が、やがて後方の畑から、土着のたれかれを寄せ集めて来て
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と云いながら喜連格子きつれごうしへ手をかけて左右へ明けて見ると、正面に本尊が飾ってある。銅灯籠あかゞねどうろうがあって、雪洞様ぼんぼりようの物に灯火あかりいてあるけれども、誠に暗くって分らん。
何はともあれ、彼は金吾と共に、その喜連格子きつれごうしを開けて、中に潜んだ優形やさがたの男を引きずり出そうと意気ぐみました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是から急いで真堀の定蓮寺へ参りましたが、はシラ/\明けまして、定蓮寺のの本堂へ来まして、喜連格子きつれごうしを明けて這入りまして、和尚に見咎められてはならんから
でも、音だけでは不安になって、念のために箱の紐を解き、逆さにポンと板敷の上へふせると、喜連格子きつれごうしから流れる星明りのかげへ、裏返しの般若はんにゃ仮面めん
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
用場ようばへ参ろうと思って縁側をずいと行って突当ると、三尺ばかりの喜連格子きつれごうしがあるから、用場かと思いずーっと開けると、用場では有りませんで、其処そこは書物棚になって居ります