喀痰かくたん)” の例文
清逸は喀痰かくたんを紙に受けていくらかの明るみにすかしてみた。黒い色に見えて血がかなり多量に吐きだされていた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
喀痰かくたんは一昼夜の分量、二個のコツプに六、七分目づつ位なり。朝ことに多し。血痕けっこんをまじへず。
明治卅三年十月十五日記事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
あなたの血液型なんかその喀痰かくたんからして、もうとっくの昔に判っていることでしょうよ
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
八日目の朝に看病夫が来て、彼の喀痰かくたんを採って行った。
(新字新仮名) / 島木健作(著)
夕方のかすかな光の中に青白い印象を清逸の眼に残して、その紙屑は一つ一つ地に落ちた。喀痰かくたんの中に新鮮な血の交ったのがいくつも出てくるのを見ると、知らず知らず溜息が出た。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)