唐宋とうそう)” の例文
彼の葉茶は花のごとき芳香を放ってしばしば驚嘆すべきものがあるが、唐宋とうそう時代の茶の湯のロマンスは彼の茶わんには見ることができない。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
偉大な工藝時代を想う時、あのゴシックの時代や、唐宋とうそうや高麗の朝を想う時、そこには常に彼らの心を結合する焦点があった。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
よく唐宋とうそうの詩人などが歌いあげている——比翼ひよくのちかいとか、同穴どうけつのちぎり、鴛鴦えんおうむつみ——などという言葉にあたる永遠をかけた不変の愛とは、つまり遊戯の中にはないものである。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唐宋とうそうの時代には陶器術の発達に伴なって、花卉を入れる驚くべき器が作られたということである。といっても植木鉢ではなく宝石をちりばめた御殿であった。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
私はかつて久留米くるめの一軒の陶器屋で不思議な品々を見つけた。それはどうしても今出来のものとは思えない。それほど手法が古く形がよく色が美しい。あるものは遠く唐宋とうそうの窯をさえ想起させた。
日田の皿山 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)