和女あんた)” の例文
「このお座敷はもろうて上げるから、なあ和女あんた、もうちゃっと内へおにや。……島家の、あの三重みえさんやな、和女、お三重さん、お帰り!」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「島屋の亭が、そんなひどい事をしおるかえ。可いわ、内の御隠居にそう言うて、沙汰をして上げよう。心安う思うておいで、ほんにまあ、よう和女あんた、顔へきずもつけんの。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
和女あんた、因果やな、ほんとに、三味線は弾けぬかい。ペンともシャンとも。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……知らぬ間に肥満女ふとっちょの込入ったのと、振向いた娘の顔とを等分に見較べて(和女あんたきまりが悪いやろ。そしたらわしが方へ来てあがりなはるか。ああ、そうしなはれ、)と莞爾々々にこにこ笑う、気のい男さ。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)