吝嗇漢けちんぼ)” の例文
これは吝嗇漢けちんぼの安二郎にはちくちく胸痛む条件だったが、けれどもお君の肩は余りにも柔かそうにむっちり肉づいていた。
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
その法則はどんな吝嗇漢けちんぼでも無視することが出来なかったので、すぐに彼はややはっきりした言葉で、『さあ、どうかまあ、お掛け下され!』と言い足した。
正直一轍の吝嗇漢けちんぼが一度けがした墓をまた堀返しつつあるのを見かけたのであった、格子縞こうしじまのスコッチラシャを頸のまわりで山風やまかぜにひるがえしながら、そしてジミな絹帽を頭上にいただいて。
「伯父さんは吝嗇漢けちんぼですか」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
で、級友たちは即座にそれを彼に叩きつけて、『えい、この吝嗇漢けちんぼめ!』と罵ったそうだ。
「とても、想像も出来ないくらいの吝嗇漢けちんぼでな。監獄の中の懲役人だって、あれよりゃましな暮らしをしていまさあね。あいつの家じゃあ、みんなを飢え死にさせてしまったのですからね。」