合点うなず)” の例文
旧字:合點
なかには、早晩こういうことになるだろうと見通していたようなことを言って、先見の明を誇り顔にしきりに合点うなずくものもある。
生きている戦死者 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
啓吉は只目で合点うなずいた。合点きながら、返事をしいられる事が何となく厭だった。だが飯も味噌汁も啓吉には美味うまい。
泣虫小僧 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
或る人は互に合点うなずき合って挨拶しているし、そうでない人も実に眼を張って入って来るものを眺めているのです。
共産党公判を傍聴して (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
造酒が交換に園絵のほうの事を念を押すと、村井長庵を使えば巧く遣れるだろうと思っている山城守は、大きく合点うなずいて胸を叩きながら、待たせてあった駕籠に乗った。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
侍女たちは心を残しつつ、合点うなずき合って兵士らの後を追い、露台上手へ馳せ入る。
大次郎——と思われる人物は、その、弥四郎ずきんの中の眼を、かすかに笑わせて、千浪! さてはこの、あの猿の湯の藤屋にいた江戸の武芸者の娘は、千浪と言うのかと、ひとり合点うなずいた様子で
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
すると、大きく合点うなずいた造酒、一同を振り返ってガミガミ呶鳴どなった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
三馬は無言で合点うなずいたらしかった。
仇討たれ戯作 (新字新仮名) / 林不忘(著)