口角こうかく)” の例文
彼れ白痘はくとう満顔、広額尖頤せんい双眉そうび上に釣り、両頬下にぐ、鼻梁びりょう隆起、口角こうかく緊束きんそく、細目深瞳しんとう、ただ眼晴烱々けいけい火把たいまつの如きを見るのみ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
肉のたるんだ先生の顔には、悠然たる微笑の影が浮んでいるのにかかわらず、口角こうかくの筋肉は神経的にびくびく動いている。
毛利先生 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
五百の目は直視し、口角こうかくからはよだれが流れていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
が、馭者はそれでは不足だと見えて、容易に出した手を引っこめない。のみならず口角こうかく泡を飛ばして、しきりに何かまくし立てている。しかし村田君は知らん顔をして、ずんずん玄関へ上って行く。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)