南京鼠なんきんねずみ)” の例文
忠公が南京鼠なんきんねずみを呉れる約束をして置いてなかなか持って来ないから催促してやった。すると忠公はだ子が生れないからやれない。その代りにほかの物なら何でも上げると言訳した。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
卓の上は南京鼠なんきんねずみの巣でもひっくり返えしたようにどこもここも散らかっていた。
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
むしろ南京鼠なんきんねずみの匂いでもしそうな汚いエキゾティシズムが感じられた。そしてそれはそのカフェがその近所に多く住んでいる下等な西洋人のよく出入りするといううわさを、少し陰気に裏書きしていた。
ある崖上の感情 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
いまではやつと南京鼠なんきんねずみのくらゐにしか見えない
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)