千篇一律せんぺんいちりつ)” の例文
「ばかあいえ。俺だって貴様、俺だって貴様……とにかく貴様みたいな偽善者ぎぜんしゃ千篇一律せんぺんいちりつだからだめだよ……なあ西山」
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
千篇一律せんぺんいちりつで退屈をきわめる切り合いや追っ駆けのこんなに多く編入されているわけが自分には了解できない。あるいは、これがいちばん費用がかからないためかとも思う。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
もっとおとなしいものは、運動場の中を千篇一律せんぺんいちりつに廻っていたが、これは、「さようなら」のしるしに手を振ってみせる。小使いは、鞄の下で背中をげ、へだたりを保つために止まっている。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
機械的大仕掛おおじかけの製造盛んに行われ、低廉ていれんなる価格を以て、く人々の要に応じ得べきに至るといえども、元来機械製造のものたる、千篇一律せんぺんいちりつ風致ふうちなく神韻しんいんを欠くを以て、ひとえに実用に供するにとどまり
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)