化粧みじまい)” の例文
たっぷりした癖のない髪を、この頃一番自分に似合う丸髷に結って、山の客が来てからは、彼女は一層化粧みじまいを好くしていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
吉里は用事をつけてここ十日ばかり店を退いているのである。病気ではないが、頬にせが見えるのに、化粧みじまいをしないので、顔の生地は荒れ色は蒼白あおざめている。髪も櫛巻くしまきにしてきれも掛けずにいる。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
櫛は野代のしろの本ひのき……素顔自慢のお藤姐御は、髪も、あぶら気をいとって乱したまんま、名のとおり、グルグルっと櫛巻にして、まア、言ってみれば、持病が起こりましてネ、化粧みじまいもこの半月ほど
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)