匇々そう/\)” の例文
僅か半歳の間、匇々そう/\たる貧裡半歳ひんりはんさいの間とは云へ、僕が君によつて感じ得た幸福は、とこしなへに我等二人を親友とするであらう。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
匇々そう/\に手を洗ふと、助手が用意してくれたいくつかのガラス瓶に入れた内臟の切片を興味もなく受取つて解剖室を出た。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
そのゝちは格別のこともなく、匇々そう/\に札をお附け被成なされ、急ぎ御夫婦とも蚊帳の内へ御入被遊あそばされ候、尤も夜半に及ぶまでむつまじき御物語の御様子にて、おん仲至極めでたかりし事共也
多「旦那さんお出なさいまし、此間こねえだわしらが留守の所へお出でゞがんしたそうでんしたが、何時もろくな物も上げましねえでお匇々そう/\べい致しやす、今日は又宜くいらっしゃいやんした」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そして、「汝帰って此の趣を則重に告げ知らすべし」と、匇々そう/\に彼を追い返した。