勿体振もったいぶ)” の例文
お涌は、大人の女中の使者らしい勿体振もったいぶった口上にどぎまぎして、蝙蝠もおしくはあるがらなければならないものと観念して、小さい声で
蝙蝠 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
さもさも勿体振もったいぶって、いやに反身そりみになって、人を軽蔑けいべつしたような目付をしながら、意気揚々と灰色の馬に跨った様は——いやもう小癪こしゃくに触って、二目と見られたものじゃない、とまあ
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
確かにこの勿体振もったいぶっただみ声は田中に違いないぞと、玄竜ははっと耳をそばだてた。
天馬 (新字新仮名) / 金史良(著)