劃然かっきり)” の例文
幾本となくたてに組み合わされた、というよりも大磐石にヒビが入って、幾本にも亀裂したように集合して、その継ぎ目は、固い乾漆かんしつの間に、布目ぬのめを敷いたように劃然かっきりとしているのが
槍ヶ岳第三回登山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
三日四日と経つうちに、山の頭は喰い欠かれたように、うす霞に融けて見えることもあるが、白さは次第に劃然かっきりと、碧い空から抜け出るようになり、山の肌はいよいよ光輝を帯びて来る。
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
蒼醒あおざめて、純桔梗色に澄みかえる冬の富士を、武蔵野平原から眺めた人は、甲府平原またはその附近の高台地から白峰の三山が、天外に碧い空を抜いて、劃然かっきりと、白銀の玉座を高く据えたのを見て
雪の白峰 (新字新仮名) / 小島烏水(著)