全裸体まるはだか)” の例文
「あれは何事でございますか! 若い乙女の身をもって、一糸もまとわぬ全裸体まるはだかで、あのような所におられましたのは?」
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
アット思う間もなく飛び退いてみると、そこにはタッタ今奪い取ったばかりの旋条銃ライフルを構えた、全裸体まるはだかの女が、物凄い見幕で立ちはだかっている。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
鼠がする/\とかれの全裸体まるはだかを肩から下へ滑り下りた話、それから若い時分に、惚れた隣村の娘をのぞきに行つて、過つて溝に落ちて、半身濡鼠になつてすご/\帰つて来る途中、冬なので
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
小児こどもは糸も懸けぬ全裸体まるはだか
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隣りのへやの仕切りの大きな垂れ幕の裾にハラムの全裸体まるはだかの屍骸が長々と横っていた。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
闇へ花のように浮かび出たことと、全裸体まるはだかの乙女がその龕燈を捧げて、悩ましそうな眼付きをして、投げられた丸太に足を打たれ、地上へ仆れている茅野雄の姿と、茅野雄を切って刻もうとして
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)