光斑こうはん)” の例文
土間に落ちる光斑こうはんがちらちらと赤く乱れた。風が行ってしまうのを黙って聞いていた。男は壁に背をもたせて低い声で言った。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
間もなく、異様な一団の全部が、みんな自分のからだを気味わるく光斑こうはんで明滅させるようになった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
第一のテーマは楽譜の形からも暗示されるように、彗星すいせいのような光斑こうはんがかわるがわるコンマのような軌跡を描いては消える。トリラーの箇所は数条の波線が平行して流れる。
踊る線条 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
両腕を組み、淡い光斑こうはんの散らばる小径を、黄色い花弁を蹴って歩きながら、彼はようやく自分が必要以上に靴先に力を入れ過ぎていることに気付きはじめていた。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)