伯耆はうき)” の例文
この間、隠岐におはしました天皇は、名和長年のお迎へを受けさせられて、伯耆はうき船上山せんじやうざんに行幸遊ばされた。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
此処の湯は、女の病気にも非常に効目きゝめがあるといふことであつた。従つて浴客が常に絶ゆることがなかつた。それから伯耆はうきに入つて、東郷湖畔に東郷温泉があつた。
女の温泉 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
因幡いなばの國境を離れて伯耆はうきに入つたころは、また夕立がやつて來た。暗い空、黒い日本海。車窓のガラスに映る水平線のかなたには僅に空の晴れたところも望まれたが、やがて海へも雨が來た。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いつだつたか横山大観と山岡米華とが一緒になつて伯耆はうきに旅をした事があつた。何でも伯耆には美しい山と美しい女があるから、一度見に来ないかと、土地の物持から招待せうだいせられて往つたのだ。
名高い伯耆はうき大山だいせんの姿も次第に車窓から望まれるやうになつた。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)