伎倆はたらき)” の例文
新吉は微温ぬるい茶をんで出しながら、「あたしなんざ駄目です。小野君のように、体に楽をしていて金をける伎倆はたらきはねえんだから。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「とんでもないこって……。」と兄貴は返盃へんぱいを両手に受け取って、「こちとらと違えまして、伎倆はたらきがおありなさるから……。」
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
弁ずるだけの伎倆はたらきはある。それは認めてやらないわけに行かんよ。その点は、私の細君として不足はないけれど——。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「そうも行かんよ。女はそればかりでもいけない。むしろそんな伎倆はたらきのない方が、私にはいいんだ。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「へえ、あの人お神さんがあるの。でもいいやね。そんな人の方が、伎倆はたらきがあるんだよ。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そのあげくに今度の事件だろう。内儀さんは裸になってしまったよ。いるところもなけれア、喰うことも出来やしない。その癖あの内儀さんと来たら、なかなか伎倆はたらきもんなんだ。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)